季節の境目の“色”事情
「あれ、今日なんか顔が合ってない?」
鏡の前でそう思った朝に限って、天気アプリは“くもりのち雨”。
なるほど、顔も天気もくすみがちですか、という話。
毎年この時期、まだ夏気分なのに、化粧ポーチの中だけが勝手に秋に行こうとしてくる。
チークのピンクが妙に浮いて見えたり、リップのツヤが“夏休み延長中”みたいなテンションで主張してきたり。
季節の境目って、服よりも先にメイクが不安定になるよね。
色のせいじゃなくて、たぶん気分の問題
夏の終わり〜秋のはじめにかけて、私は毎年「全部くすみカラーでいこう」と思って失敗する。
目元から頬までモーブにした結果、友達に「体調大丈夫?」って言われた年がある。
いや、くすんでるのはメイクじゃなくて私の気分なんです、って説明しても伝わらないやつ。
そこから学んだのは、“季節感は全塗りしない”ということ。
まぶたの色を少し抑えたなら、リップはそのままでもいいし、
逆に唇をトーンダウンした日は、アイラインをちょっと強めにしてもバランスが取れる。
色のトレンドより、自分の“その日のテンション”のほうが正確。
ポーチの中で起こる季節会議
私のポーチは今、夏と秋が共存している。
ツヤ系ティントとマットなモカが、たぶん毎朝小競り合いしてる。
「まだ私の出番あるでしょ?」ってティントが主張する横で、
モカは「そろそろ交代の時期だよ」と低めの声で説得してくる。
その様子を見て、私は静かに“気分審議”を始めるわけです。
だいたい寝不足の日はモカが勝つ。
元気な朝はピンクが粘る。
結局、勝敗を決めるのは気温でもトレンドでもなく、私のまぶたのコンディション。
メイクってそういう生々しい現場仕事なんだよね。
「うまくいかない日」は、もう“季節”のせいにする
秋のはじめは特に、何を塗っても決まらない日が多い。
肌が乾くわけでもないのに、ファンデがなじまない。
アイシャドウが浮いて見えるのに、チークを足すと濃く見える。
その度に「これ私の技術が悪いの?」って反省しがちだけど、
たぶんそれ、全部季節のせいでいい。
空気が変わるタイミングって、顔も、服も、気分も、どれも“微ズレ”する。
だから、そこで完璧を狙うのはムリゲー。
私はそういう日はもう諦めて、アイラインをぼかして誤魔化す派。
むしろその“ゆるさ”が今っぽく見えたりするし、結果オーライ。
小さな変化だけで、ちゃんと季節は来てる
駅までの道で、風がちょっと冷たくなってるのに気づいた。
前髪が湿気で広がらない日が増えてきた。
そういうささいなサインを見つけると、「あ、秋始まってるな」って思う。
そんな時に手に取るリップが、昨日とは違う色だったら、それで十分季節感ある。
無理に“秋色”を探さなくても、ちゃんと今の自分が答えを出してる気がする。
結局、季節の境目って“自分のリズムがズレる時期”なんだよね。
そのズレを整えるために、私たちは毎朝少しずつ色を変えてるのかもしれない。
でも焦らなくていい。季節はどうせ、こっちが準備できてなくても勝手に進む。
だからせめてメイクくらいは、自分のペースでゆっくり変わっていけばいい。
さて、今日の私はまだピンクで粘るつもり。
でも夜になったらモカに浮気してるかも。
それくらいの気まぐれが、ちょうどいいのかもしれないね。
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